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- 2022.5.2
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※番外編ブログ※ story 8『かんばせ』
※このブログは、「キセキの杜 ジョブステーション」で働く、生活支援員Nの物語です。
story 8 『かんばせ』
「みることはつくること」
一見頭が混乱しそうなこの言葉は、私がお世話になっていた方が良く使っていた言葉だ。
創るためには、観ることが必要。
良いモノを創るには……モノの善し悪しを知ること。
モノの善し悪しを知るには、徹底して観ること。
それが絵画でも音楽でも映画でも、まずは観ることから始まる。
芸術だけの話じゃない。
「人」もそう。
優しい人、冷たい人、強い人、弱い人、正直な人、狡い人……。
見れば見るほど、自分の中に蓄積されていく、様々な人の在り方。
それが、ゆくゆくは「自分」をつくることに繋がる。
美味しい食事も、心豊かな生活も、立派な仕事も、
美味しい食事を作る人、心豊かな生活を送る人、立派な仕事を成し遂げる人、
を見ることで、つくるヒントを得ることが出来る。
「自分が分からない」という人は、他人に興味を持てない人が多い。
他人は他人であると同時に、鏡であることに気付かない。
人を見続けることで、自分が見えてくる。
そんな瞬間が有るように思える。
たくさんの人を見てきた。
「すごいな、見ていよう」と思って真剣に見ていると、
相手もこちらを見てくれるようになり、そこから生まれる信頼関係もある。
「あの人はしっかり私を見てくれている」それだけで、励みになる。
見ることはすべてをつくる。
よいモノも、なりたい自分も、人間関係も、まずは見ることから、だと思う。
そんなふうに人を見続けて、ひとつ分かったことがある。
「人となり」というのは、すべて「顔」に表れていること。
化粧や格好では絶対に誤摩化せない、「かんばせ」。
美味しい食事を作る人も、心豊かな生活を送る人も、立派な仕事を成し遂げる人も、
皆、良い顔をしている。
苦労や不幸を周りのせいにせず、自分の糧にしてきた人の深さも、顔に滲み出る。
肉眼じゃ見えない人の深み。
人を肩書きだけで判断する人は、その人の本質が見えていない。
というより、普段から人を見ない人は、いざ他人の顔を見ても、見えない。
だから肩書きで判断しようとする。
就職活動を始めて気をつけていたことは、会社の規模や実績はもちろん、
会社の代表格の方や、働いている皆さんの「顔」だ。
求人広告や活字だけでは読み取れないものを、見ること。
相手をしっかり見た上で、自分も見てもらえれば、それだけ双方の歩み寄りはスムーズにいく。
支援員になってからも、利用者さんには、「会社の顔」を見るようにとアドバイスしている。
どんな職場に置いても、最終的に長続きするかしないかは、人とのコミュニケーションの問題が多い。
規模や実績も大切だけれど、そこで働く方々の実際の「顔」をみることは、
そこでの自分をつくることにも繋がるからだ。
利用者さんにとっての職場実習が、どれほど大切で有り難いことかと、常々思う。
常日頃から人を見る訓練をしておく。
人を見れば見るほど、見えない部分が見え、
「人を見るスキル」が、「自分をつくるスキル」に繋がっていく。
自分ばかりを見て!という人は、自分が見えておらず、
残念ながらコミュニケーションもうまくいかない。
見て欲しい(人と繋がりたい)ならなおさら、まず相手を良く見ることが必要だ。
応募した会社から、ようやく書類選考の返事がもらえた。
某職業紹介機関のベテランのおじさま(前話参照)から、
応募書類を効果的に見せる書き方を教わり、手直しした途端、立て続けに2社、ポンポンと返事が来た。
今まで何度ノックしてもびくともしなかった扉の奥から、「どうぞ」と声がする。
「これで決めないと後がない!」そう思った。
見なくては……!
HP上だけでは分からない、現場の方の「顔」。「会ってみないと分からないモノ」。
どちらのご縁が、これからの自分をつくっていくだろう……。
先方の「かんばせ」に、ワクワクしていた。(つづく)
次回、story9『扉の向こう』の更新予定は2022/5/16です!
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